俺はナルシスト?

　うん、俺はナルシストだと思う。
自分の好きな部分に酔うのが大好きだし、
中学の時からよく鏡の前で踊ってたし、（ハリーに何か言う資格ナシ。）
今でも、自分が活躍する場面を妄想するのが大好きだ。
小さい頃、俺の一番の楽しみは、
眠りにつく前にする想像遊びでした...。

　でも、今は昔に比べたら、そういう時間が確実に減ってます。
自分に酔えるってさ、自分の価値を信じてるってことに繋がらないかな？
例えば失敗してもさ、
『今回はちょと調子悪かっただけだ。本気出せば、こんなん楽勝だよ』
ってな感じにさ。

　高校１年の終わりの頃、エンデの『はてしない物語』を読んだ時、
物語の面白さにドキドキしてた（しまくってた）俺は、
物語の主人公と同じように演じてみたんだ。
主人公のバスチアンは、本屋から勝手に取ってった『はてしない物語』を、
学校の物置でずっと読み続ける。
俺も授業をサボって、屋上に続く階段の一番上のとこで、
ずっと読み続けたんだ。
その日はバスチアンと同じように、すべてをほったらかして、
本を読み続けてさ、
最後は一橋大学の校内で１２時まで読み続けて...。

　その物語の前編は、バスチアンが本に吸い込まれるところで終わるんだけど、
俺、ほんとに自分も本に吸い込まれないかって、ずっと本気で期待してた。
この物語に吸い込まれたら、どんなにイイだろうって。
他の誰もが無理でも、俺なら、この俺なら物語に招かれるかもって。
俺その時すでに１６歳なのにさ、ほんとにほんとに期待してて...。
でも、やっぱり吸い込まれたのは本の中のバスチアンだけでさ、
俺は入れてもらえなかった。

その日の夜はすっごくすっごく悲しくてさ、
もうなんだかすべてがどうでもよく感じたのを憶えてるよ。

　ナルシストとこの話、なんか関連ないね。
でもあの時、俺なら本の中に入れてもらえるかもって期待してた俺は、
自分の価値を信じてたんだよね。
自分は特別って、感じていられたんだ。

自分を特別に考えることは、イイこと？悪いこと？
少なくとも、俺はそう思うことから色んな力が湧いてきました。