将棋は正直だという。

　俺らの世界でも同じことが言える。
人より努力し、時間をかけただけ見えてくる世界がある。
より強くなれる。より人のために何かできる。
どれだけ時間をかけ、どれだけ力を注いだかで決まるんだ。

　●俺は許せない。
大切な友達。
だけど、盲目になっている今の友達。

罪は二人にある。
なのに片方は許して、なぜもう片方は許さない？

罪の重さで言えば、罪と罰を受け入れる人と、
罪を受け入れず、のうのうと今の居場所に居座り続ける人なら、どちらが重い？？

どうでも良い人ならどうでも良い。
幸せな嘘の世界にひたってな。
でも、彼女は大切な人だ。
何度も俺を助けてくれた。彼女を助けてくれた。
他人を傷つけることがない、大切な人だ。

　でも、俺は納得いかない。
彼女だけが責められて良いはずがない。

それに、たくさんの恩があり、
同じ価値観を共有し、大切だと思った人が、
間違ったことをするのを許せない。

　携帯を持つ手だけではなく、上半身全部がガチガチに震えて、
毎朝胃が痛くて、薬も効かなくて、
気付けばそのことばかり考え、暗い顔をしている俺。
臆病で、薬を一日１０錠以上使っても自分に勝てない俺。

　でも、ここはゆずれない。
俺を信じてくれる人がいる。
俺を大切に想ってくれる人がいる。

何より、中学生の時に、今以上に勇気のいることをした自分に、
俺は負けたくない。
あの時も、やっぱり震えて、怖くてどうしようもなかったと思うんだけど、
俺は言ったんだ。
そして、止めることができた。

あの時の自分に恥じないように、
俺は家族には悪いけど、
でも、やっぱり、
胃に穴が開いても、うつで学校を休学することになったとしても、
俺は、やんなきゃいけないんだ。
逃げるな。
立ち向かえ。

お前の憧れた人たちはみんな、震えながら、迷いながら、何度か逃げながらも、
最期には向かい合った。

逃げるな。

逃げるな。

俺が今まで積み上げてきたものを、信じろ。
そして、助けてくれるたくさんの友達を、信じろ。

さぁー、口だけなのはここまで。
立つぞ。