ある朝、僕の噂

夕方悪い噂。
そうさ、僕のせいさ。
しんデス。

　●夜勤中。
一緒に入った同僚が噂について教えてくれた。
仕事がなかなか覚えられないある新人と逆で、
最初はバッチリできてたサイトウ君がどんどん仕事できなくなってるって。

　それを聞いた時、
『はっ？』って、頭に血が上るのを抑えられなかった。
何言ってくれてんの！？
こっちはこんなに頑張ってんのに！？
お前らが仕事終わる間際勝手にお茶入ってる時、
誰が仕事してんの！？
...ってな感じで、
まぁー噂に参加する人なんて限られてるから、
その何人かを思い浮かべてそう考えた。
やる気が一気に落ちるのを感じて、
もう他の人のサポートとか入るの辞めようかとか、
笑顔の仮面を外そうかとか、
マイナスのイメージがひたすら頭を支配して、
そんで....
しばらくしてから気づいた。

　あぁ、短気だなぁー俺。
これくらいのことですぐマイナスの気分に支配されてちゃ、
器の小ささが知れるってもんだ。
もし他人に挑発されるようなことがあったら、
すぐにでも乗っちゃいそうな自分が恥ずかしいわ。
そんで考えた、良い方に。

　?仕事ができなくて主任を怒らせて落ち込んでる同期の一人の気持ちがもっとわかるようになったし、たぶん仕事ダルいって思ってる俺の友達全員にもっと共感できるようになった。

　?先輩は、仕事を休んじゃうほどのストレスをずっと抱えて一年をやり切った。ムカつく主任によく一年我慢したよ。俺の主任は、信頼できるとこがけっこうある。だから別にこれくらいって思える。

　?噂話のせいで辞めた人がたくさんいることを、新人歓迎会で院長は言った。その話を聞いた時、院長に親近感が湧いた。自分が何かを言うことでその新人の周りに壁ができることがわからないんじゃなくて、たぶんわざと壁を作ってるんだよな、みんな。噂ってすげー武器だな。

　?うちの近くの某総合病院は評判が悪い。働いてる人の。
たぶん、うちはまだマシな方だと思う。
たぶん、俺はこれからもずっとこんな世界と付き合っていくことになるだろう。
ということで、早めに慣れる機会があって良かった。

　?そろそろマジメに勉強し始めなきゃいけない。
仕事休みの時勉強して、仕事終わってから少し勉強して...体力のない俺は、たぶんどっかで集中力が途切れちゃうことがあると思う。
だから逆に今のうちから評価は低い方が良い。ってかむしろ、俺の評価って最初良かったの！？ビックリ。...ちょっと張り切り過ぎたな。

　...こんなことを夜勤中考えてた。
終わる頃には、
なんだか噂とかどうでも良いような気がしてた。
仕事の帰りにいつも駐輪場で話す友達ができて、
同期とは来月の終わりに飲み会。
冷静に考えると、やっぱり上手くいってる方だよな。
めんどくさい人間関係とか含めて仕事の辛さだから、
こういうのもちゃんと受け止めなきゃな。

　さて、犬の散歩行って、
それから勉強しに行こう！！